愛犬が足をかばう、立ち上がりにくい、散歩を嫌がる。そんな変化があれば、年齢のせいと決めずに動物病院へ相談しましょう。関節炎のほか、けがなど別の原因で動きにくくなっていることもあります。
まずは気になった動きと、いつから変わったかを病院へ伝えてください。関節炎と診断された後は、治療に加えて床や寝床、散歩の仕方を整えることも日々のケアになります。
急に歩けない・強く痛がるときは、すぐ病院へ連絡する
急に立てなくなった、足を地面につけられない、引きずる、強く鳴いて痛がる場合は、すぐに動物病院へ連絡し、受診と運び方の指示を受けてください。けがの後に歩き方が変わった場合も、様子見を続けないようにします。
受診まで無理に歩かせたり、痛む足を曲げ伸ばしして確かめたりしないでください。人用の鎮痛薬や、別の犬に処方された薬も自己判断で与えてはいけません。
参考:米国FDAのペットの鎮痛薬に関する注意(英語)
気になる変化と、受診時に伝えたいこと
立ち上がりが遅い、足をかばう、段差を嫌がる、遊ぶ時間が減ったといった変化は、診察の手がかりになります。普段との違いに気づいた時点で相談しましょう。
- いつから変わったか。突然か、少しずつか。
- どの足をかばっているか。起床後、散歩中など、気になりやすい場面はあるか。
- 食欲、排泄、元気にも変化があるか。
- 転倒、ジャンプ、けがなど、直前に起きたこと。
- 今のフード、おやつ、薬、サプリメントの名前と量。
自然に歩いているときの短い動画があれば、病院では見せない動きを伝えられます。撮影のために何度も歩かせる必要はありません。
関節炎の治療は、痛みと動きやすさを一緒に考える
変形性関節症は、軟骨だけでなく関節周囲にも変化が起こり、痛みや動きにくさにつながる病気です。若い犬でも、関節の発育上の問題やけがなどに伴って起こることがあります。
動物病院では歩き方や関節の状態を調べ、必要に応じてX線などの検査を行います。診断後は、痛みを抑える薬、体重管理、運動の調整、住まいの工夫などを組み合わせます。原因や状態によっては、手術が検討されることもあります。
診察では「寝床から楽に立ち上がれるようにしたい」「トイレまで痛がらずに歩いてほしい」のように、日常で困っている場面を伝えましょう。治療後に何を見て判断するか、次はいつ診てもらうかも決めておきます。
参考:米国獣医外科専門医協会の犬の変形性関節症の説明(英語)
家では、よく通る場所から整える
| 場所・場面 | 取り入れたい工夫 |
|---|---|
| 寝床から水・トイレまで | よく歩く経路に、ずれにくい滑り止めマットを敷く。端がめくれてつまずかないかも確認する。 |
| ソファや段差 | 飛び乗り・飛び降りを減らす。必要なら体格に合う安定したスロープなどを相談し、無理なく使えるか見守る。 |
| 寝床 | 静かに休めて、出入りや立ち上がりがしやすい場所を選ぶ。沈み込みや高さが犬に合うかを見て調整する。 |
| 散歩 | 距離、時間、地面の状態を獣医師と相談する。急に長く歩かせず、散歩後の足のかばい方も見る。 |
| 食事 | 目標体重と一日の食事量を確認し、フードとおやつを量る。家族で与えた分が重複しないようにする。 |
太っている犬では減量が治療の一部になることがありますが、すべての犬の食事を減らすわけではありません。体重だけでなく筋肉の状態も含めて確認してもらいましょう。
水泳、ストレッチ、マッサージなどを始めたい場合は、先に獣医師や動物のリハビリ担当者へ相談してください。家でできる動作、回数、やめるサインを教えてもらい、嫌がる動きを続けないようにします。
参考:米国動物病院協会の体重・食事・環境・リハビリの指針(英語)
サプリメントは、フードと薬を伝えてから相談する
関節ケアの商品にはグルコサミン、コンドロイチン、魚油などが使われています。ただし、成分が入っているだけで痛みの改善や関節炎の予防を保証できるわけではありません。米国動物病院協会の2022年の疼痛管理指針では、犬のオメガ3脂肪酸を除き、関節症状を和らげる栄養補助成分の根拠は弱いと整理されています。
取り入れるなら、商品名と成分表を獣医師に見せ、今のフードや薬と合わせて必要性を相談しましょう。魚油も一律に追加せず、食事に含まれている量や持病を考えて決めます。
- 何を目的に使い、どの変化を見るのか。
- その犬に合う一日の量はどれくらいか。
- 薬やフードとの重複、アレルギーで気をつけることはあるか。
- いつ見直し、どんな症状が出たら中止・連絡するか。
サプリメントを試すために受診を先延ばしにしたり、処方薬を減らしたりしないでください。必要なケアが決まってから購入すると、使わない商品を増やさずに済みます。
痛み止めを処方されたら、連絡が必要な変化も確認する
薬の量や回数は、獣医師の指示どおりに守ります。痛そうだからと追加したり、別の薬を組み合わせたりする前に連絡してください。飲み忘れた場合の対応も、処方時に聞いておきましょう。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使っていて、食欲が落ちる、吐く、下痢や黒い便が出るなど、副作用を疑う変化があったら、その薬の投与を中止して直ちに獣医師へ連絡します。飲ませた薬と時刻、症状を伝えてください。
血液検査や再診の間隔は、薬や犬の状態で変わります。開始前の検査、使用中の確認、次の受診日をかかりつけ医と決めましょう。
参考:米国FDAの犬のNSAIDs使用中の注意(英語)
よくある質問
シニアになったら、症状がなくてもサプリを始めるべきですか?
年齢だけで購入を決める必要はありません。健診で体重、筋肉、歩き方、食事を確認してもらい、必要な対策を相談しましょう。
散歩をやめて、ずっと休ませるほうがよいですか?
急に痛がるときと、治療しながら日常生活を送るときでは対応が違います。診断前は無理に歩かせず、診断後はその犬に合う運動量を聞いてください。運動後に症状が強くなるなら、内容を記録して相談します。
通院費が気になるときはどう相談すればよいですか?
診察時に、検査や治療の目的と見込み費用、継続に必要な費用を聞きましょう。すでに保険へ加入している場合は、今回の診療が補償対象か契約内容を確認します。保険への新規加入を待つために受診を遅らせないでください。
「普段と違う」を、受診と暮らしの改善につなげよう
関節のケアで大切なのは、痛みの原因を調べ、犬が楽に動ける状態を目指して治療を続けることです。まずは気になる変化を病院へ伝え、家ではよく通る床や寝床から整えていきましょう。

