グラウンディングは、目の前にある物や音、触れている物の感触に注意を向け、今いる場所を確かめる方法です。考えごとが膨らんでいるときに、注意を切り替える選択肢の一つになります。
スピリチュアルでは「大地とつながる」というイメージでも語られますが、ここで紹介するのは、室内で身近な感覚を確かめる方法です。石やマットなどを買わなくても試せます。
グラウンディングは、身の回りに注意を戻す方法
英語のgroundには「地面」という意味があります。心理的な支援で使われるグラウンディングでは、見える物や聞こえる音など、現在の環境に意識を向けます。米国の国立PTSDセンターも、目の前で見える・聞こえる・触れて感じるものを挙げる方法を紹介しています。国立PTSDセンターのグラウンディングの説明
たとえば、返事を待ちながら何度もスマホを確認しているとき。「なぜ返事がないのだろう」と考え続ける合間に、机の色、椅子の感触、窓の外の音へ注意を向けてみる、という使い方です。
「大地に根を張る」といった言葉は、イメージとして受け止められます。一方、ふらつきや強い不安の原因を、地球とのつながりやチャクラの不足で判断することはできません。
室内で試せる、短い3つのやり方
まずは転倒の心配がない場所で、楽な姿勢を取りましょう。全部を続けて行う必要はありません。どれか一つを選び、嫌な感じがしたらやめて構いません。運転や機械操作の最中には行わないでください。
1.見える物・聞こえる音・感触を一つずつ挙げる
- 見える物:「机の上に青いペンがある」
- 聞こえる音:「エアコンの音がする」
- 触れている感触:「背中に椅子の背もたれが当たっている」
声に出しても、心の中で言っても構いません。「青い」「低い音」「布が柔らかい」など、実際に分かることだけを短く挙げます。感じ取りにくいものは飛ばし、使いやすい感覚から選んでください。
2.身近な物の形や感触を観察する
ハンカチやノートなど、安全に持てる物を一つ選びます。「四角い」「端に縫い目がある」「表面が滑らか」と、見たり触れたりして分かる特徴を挙げてみましょう。熱い物、刃物、強い香りの物は使いません。
石を持つのが好きなら、尖っていない、扱いやすい物でも構いません。種類ごとの効能や価格で選ぶ必要はなく、身近な物を観察する点は同じです。
3.5・4・3・2・1と数えながら探す
英国のRoyal United Hospitals Bathの患者向け資料には、五感を順に使う方法が掲載されています。見える物を5つ、感触を4つ、音を3つ、匂いを2つ、味を1つ挙げる方法です。病院のマインドフルネス・グラウンディング資料(英語PDF)
最初は目を開けたまま、無理なく挙げられるものだけで試せます。匂いや味が分からなければ飛ばして構いません。何かを舐めたり、強い香りを用意したりする必要はありません。数をそろえることが負担なら、1の方法に戻すか、そこで終わりにしましょう。
終わったあとは、今できることを一つ選ぶ
少し区切りがついたら、やろうとしていたことを小さく分けます。たとえば、次のような行動から選べます。
返事が気になってスマホを見続ける
確認をいったん終え、洗い物など短い用事を一つする。
仕事のやることが多くて動けない
締切を確認し、最初の作業を一行にする。難しければ上司に優先順位を相談する。
動画や占いを見た後に落ち着かない
動画や鑑定を終了する。休める場所で過ごし、困りごとが続くなら相談する。
外を歩きたい日は、体調と天候に合った服装・靴で、安全に歩ける場所を選んでください。途中で立ち止まり、木々の色や風の音を楽しむ過ごし方もあります。
合わないときや、症状があるときの対応
練習でつらくなったら中断する
不安が増える、嫌な記憶が浮かぶ、体の感覚に注意を向けると苦しい場合は、中断しましょう。国立PTSDセンターも、かえって苦痛が増す場合には、その場で方法をやめるよう案内しています。うまくできるまで繰り返す必要はありません。
息を深く吸おうと力んだり、長く止めたりせず、自然な呼吸で過ごしてください。練習を終えてもつらいときは、安心して話せる人にそばにいてもらうこともできます。
ふらつきや強い不安は、症状として相談する
ふらつく、意識がぼんやりする、眠れない、不安が強く生活に支障がある場合は、医療機関へ相談してください。いつから、どんな場面で起きるか、睡眠や食事、使っている薬について伝えましょう。
受診先に迷う場合は、保健所や精神保健福祉センターなどの公的窓口も利用できます。厚生労働省のこころの相談窓口案内
急に支えなしで立てないほどふらつく、片方の手足に力が入らない、意識がおかしい、突然の激しい頭痛や呼吸困難がある場合は、119番へ。自分で運転して受診しないでください。消防庁の救急車利用の目安(PDF)
よくある質問
毎日どのくらい続けると効果が出ますか?
全員に共通する回数や効果の出る期限はありません。落ち着いているときに短く試し、使いやすいか確かめる程度からで構いません。変化がない、負担になる場合は、やめて別の休み方や相談を選べます。
アーシングマットやパワーストーンは必要ですか?
この記事の、身の回りに注意を向ける方法には必要ありません。椅子の感触や部屋にある物を使えます。商品を買うなら、用途と価格、返品条件を確認し、不調の治療を目的に選ばないようにしましょう。
瞑想の後にぼんやりするときも、続けてよいですか?
まず瞑想を中断し、安全な場所で休みましょう。ぼんやりした状態で運転や危険な作業はしないでください。強い症状や繰り返す不調は、医療機関に相談してください。
食事でグラウンディングを強くできますか?
根菜や赤い食べ物を特別な対処として増やす必要はありません。食事を取れているか、休めているかを確かめましょう。治療中の食事指導がある場合は、その内容に従ってください。
身近な感覚を、使いやすい範囲で
机の色を一つ、聞こえる音を一つ。グラウンディングは、そのくらい短く試せます。終わったら休憩する、用事を一つ進める、誰かに相談する。今の自分に必要な行動につなげてみてください。

