階段で息が切れる、疲れが抜けない、動悸がする。こうした変化が続くときは、内科で原因を確かめましょう。鉄分不足による貧血のほかにも、似た症状が出る病気があります。
鉄欠乏性貧血では、鉄を補う治療と、鉄が減った原因への対処を並行して行います。食事を整えることも、その治療を支える一つです。
息苦しさが急に出たときは、すぐに対応する
急な息切れや呼吸困難、胸や背中の突然の激痛、胸を締め付ける痛みが続く場合は、119番で救急車を呼んでください。
鉄分不足で見られる症状
鉄は、血液で酸素を運ぶヘモグロビンを作る材料です。不足して貧血になると、次のような症状が現れることがあります。
- 疲れやすい、体を動かすと息切れや動悸がする
- 顔色が悪い、頭痛やめまいがある
- 爪がもろくなる、スプーン状に反る
- 髪が抜けやすい、口の端や舌が荒れる
- 氷などを無性に食べたくなる
当てはまる症状があれば、いつから、どんな場面で起こるかを診察で伝えてください。爪やまぶたの色だけでは鉄分不足を判断できず、ゆっくり進む貧血では目立った症状がないこともあります。
参考:NHS「鉄欠乏性貧血」、慶應義塾大学病院「鉄欠乏性貧血、その他の造血因子不足による貧血」
検査では、貧血の有無と原因を確かめる
血液検査では、ヘモグロビンや赤血球、必要に応じて体に蓄えた鉄の量を反映するフェリチンなどを調べます。貧血には、鉄以外の栄養素の不足や病気が関係するものもあります。
鉄が不足する背景には、主に次のような事情があります。
- 食事量が少ない、食べられる食品が偏っている
- 月経や胃腸からの出血で鉄が失われている
- 胃腸の病気や手術後の影響で、鉄を吸収しにくい
- 成長期や妊娠中で、必要な鉄が増えている
受診時には、食事の状況、月経量の変化、便の異変、飲んでいる薬やサプリ、胃腸の病気・手術歴を伝えると、原因を調べる手がかりになります。月経が多い場合は婦人科の診療、胃腸からの出血が疑われる場合は消化器の検査が必要になることもあります。
鉄剤は、検査結果を見ながら続ける
鉄欠乏性貧血と診断された場合は、原因の治療とともに鉄剤を使います。飲む量やタイミングは、処方時の説明に従ってください。
体調が良くなっても、体に蓄える鉄を補うために治療が続くことがあります。検査の予定と服用期間を確認し、医師と相談しながら続けましょう。
吐き気、腹痛、便秘、下痢が出て飲みづらいときは、処方元に伝えてください。飲み方や薬の変更などを相談できます。
参考:NHS「鉄欠乏性貧血の治療」、慶應義塾大学病院「治療」
毎日の食事で鉄を取り入れる工夫
赤身の肉や魚、小松菜やほうれん草、豆類などが鉄の供給源になります。肉や魚を食べない人も、豆類や野菜などを組み合わせて取り入れられます。
植物性食品に含まれる鉄は、ビタミンCや動物性たんぱく質と一緒に取ると吸収されやすくなります。例えば、主菜に肉や魚、副菜に青菜を合わせる。豆料理に野菜を添え、食後に果物を食べる。普段の献立に足しやすい組み合わせから始めましょう。
食べる量そのものが減っている場合は、欠食や極端な食事制限も見直したい点です。食事制限を指示されている人は、その範囲で栄養士や担当医に献立を相談してください。
サプリを使う前に確認したいこと
疲れや息切れが続く人は、まず受診して補充が必要かを確かめましょう。鉄は取りすぎると、吐き気や腹痛などを起こすことがあります。
サプリを利用する場合は、鉄剤やマルチビタミンとの重複、ほかの薬との飲み合わせを医師・薬剤師に確認してください。使っている製品名と成分量の表示を見せると伝わりやすくなります。
鉄剤や鉄を含むサプリは、子どもの手が届かない場所へ。誤って多量に飲むと重い中毒を起こす危険があります。
参考:厚生労働省eJIM「過剰摂取のリスク・医薬品との相互作用」、NHS「鉄剤の保管」
よくある疑問
貧血と言われていなくても、鉄が不足していることはある?
あります。体に蓄えた鉄が減ってから、ヘモグロビンの低下につながることがあります。体調不良が続く場合は健診の結果を持って受診してください。追加検査が必要かは、症状やこれまでの経過から判断します。
食事を変えれば、どのくらいで良くなる?
鉄が減った原因や程度、治療の内容で変わります。貧血と診断された人は、食事の改善と処方された治療を続け、再検査で回復を確かめましょう。
妊娠中の鉄分不足はどうすればいい?
妊娠中は必要な鉄が増えます。健診で貧血を指摘されたときや、疲れ・息切れが気になるときは産科の担当医に伝え、検査と補充方法を相談してください。すでに飲んでいる妊婦用サプリがあれば、一緒に伝えましょう。
参考:厚生労働省eJIM「鉄欠乏症」、日本産婦人科医会「妊娠中の鉄欠乏とフェリチン検査」
気になる症状が続いたら、受診して原因を確かめましょう。そのうえで、治療と続けやすい食事を組み合わせていくことが回復への一歩です。

