
ひとりちゃん
「読む時間が足りない」ときは、まず何を知りたいかを決めてみましょう。全体を眺める時間と、必要な箇所を詳しく読む時間を分ける方法を紹介します。
仕事で必要な資料を読みたいのに時間が足りない、積んだ本をどこから読み始めればよいか迷う。そんなときは、すべてのページを同じ速さで読もうとせず、読む目的と範囲を先に決めてみましょう。
この記事では、必要な箇所を探す・全体像をつかむ・詳しく読むという読み方を、5つの手順にまとめます。速さだけを目標にせず、読んだ内容を説明できるかも確かめながら試してください。
速読の基本:読む目的に合わせて速さと範囲を変える
読書研究をまとめたRaynerらの総説(2016年)は、大幅な速度向上と十分な理解を両立する速読法に慎重な結論を示しています。読み飛ばす範囲を増やすと、細部を取りこぼしやすくなります。主に英語の研究を扱うため、示された語数をそのまま日本語の文字数の目安にはできません。読書と速読に関する研究者の総説
必要な箇所を探す:目次・索引・キーワードを手がかりにする
調べたいことが決まっているなら、まず答えがありそうな章や語を探します。たとえば実用書で「道具の手入れ」を知りたいときは、目次や索引から関連するページへ進みます。見つけた一文だけで判断せず、その前後も読むところまでをひと組にしましょう。
全体像をつかむ:構成を見て読む場所を選ぶ
本の内容が自分の目的に合うか確かめたいときは、目次、章の導入、見出し、まとめを手がかりにします。これは読む場所を決めるための下見です。本文の細かな説明まで理解したことにはならないので、疑問が残る箇所に印をつけておきます。
詳しく読む:意味が曖昧なら前に戻る
主張の理由や手順を理解したい場面では、文のつながり、条件、例外を追って読みます。「これ」「その場合」が何を指すか分からなければ、前の段落へ戻りましょう。読み返しは理解を助けることがあり、一律に減らす必要はありません。
読む場所と深さを決める5つの手順
手順①:読む目的を一文で決める
本や資料を開く前に、「何が分かればよいか」を短く書きます。「片付けの本を読む」なら「机の書類を分類する方法を知る」のように、今の疑問へ絞ってみてください。
物語や文章そのものを楽しみたいなら、速さを優先しなくても構いません。途中で知りたいことが変わったときは、目的を書き直して読む範囲を選び直します。
手順②:目次と見出しで全体の構成をつかむ
目次、章の見出し、導入やまとめに目を通し、答えがありそうな章に印をつけます。新聞やウェブ記事なら、見出しから導入文へ進み、本文のどこを詳しく読むか見当をつけましょう。
この段階では分からない言葉や気になる点をメモしておけば十分です。見出しから想像した内容と本文が違っていたら、本文に合わせて理解を修正します。
手順③:キーワードや索引で必要な箇所を探す
紙の本では索引や章の見出しを、検索できる電子書籍や資料では検索機能を使って、目的に関係する語を探します。「保存」で見つからなければ「保管」も試すなど、言い換えも手がかりにします。
検索結果は本文を読む入口です。該当する段落だけでなく前後の説明を開き、探していた話題かを確認してください。検索で見つからなくても、表記の違いや検索対象の制限があるため、「この本には書かれていない」とすぐには判断できません。
手順④:重要な段落は途中の説明・条件・例外まで読む
段落の最初や最後は、内容を見渡す手がかりになります。ただし、要点が必ずその位置にあるとは限りません。必要な箇所を見つけたら、段落の途中にある理由、具体例、数字の条件まで読みます。
たとえば「この方法が使える」という文の後に、「ただし」「〜の場合を除く」と続いていないか確かめます。契約の条件や道具の使用手順など、細部をもとに行動する文章では、関連する注意事項や参照先も含めて確認しましょう。
手順⑤:自分の言葉で確かめ、必要なところへ戻る
ひと区切り読んだら、「何が書かれていたか」「理由は何か」「どんな条件で使えるか」を、本から目を離して短く説明してみます。うまく言えない部分や根拠が曖昧な部分は、該当するページへ戻って確かめます。
行を見失いやすければ、指や定規を読む位置の目印として使っても構いません。指を速く動かすことを目標にせず、文の意味を追える速さに合わせましょう。
- 何を知りたいかを一文にする
- 目次や見出しで全体の構成をつかむ
- キーワードや索引から読む場所を探す
- 必要な段落の条件や例外まで読む
- 自分の言葉で確かめ、曖昧な箇所を読み直す
短い文章で読み方を試す練習
時間よりも、読めた内容を確かめる
最初は、関心のある短い記事や本の一節で試します。読む前に疑問を書き、読み終えたら答えと根拠の場所をメモしましょう。かかった時間も残せますが、速さだけで成功を決めず、必要な情報を確認できたかを振り返ります。
| 試す文章 | やってみること | 読み終えた後の確認 |
|---|---|---|
| 短い記事 | 見出しと導入で話題を予想してから本文を読む | 予想と違った点はどこか |
| 実用書の一節 | 知りたいことを決めて該当箇所を探す | 答えの条件や例外も説明できるか |
| 好きな本のひと区切り | 無理に急がず読み、内容を短くメモする | 曖昧だった箇所を読み直せたか |
| これから読む本 | 目次を見て読む順番を決める | 選んだ章が目的に合っていたか |
意味の分からない用語が続くなら、必要な言葉を調べてから読み直す方法もあります。同じ文章でも、全体像だけ知りたい日と、内容を人に説明したい日では必要な読み方が変わります。
道具は読みやすさと見返しやすさで選ぶ
電子書籍では、使える機能に応じて文字の大きさや行間を調整し、しおりやメモで読み直す場所を残します。紙の本なら付箋や別紙のメモでも同じように管理できます。
単語を順に素早く表示するツールを試す場合も、表示速度の数字だけで理解できたとは判断しないでください。途中で止められるか、前後を読み返せるかを確認し、内容が追えなければ通常の本文表示へ戻しましょう。
速読に関するよくある質問
- 速読すると内容の理解度が下がりませんか?
-
急いで読むために文章を飛ばすと、細部や条件を読み落とすことがあります。全体像をつかむ下見には使えても、十分に理解したとは限りません。判断に使う箇所は前後も読み、「どういう意味か」「どんな条件があるか」を説明できるか確かめてください。
- どのくらい練習すれば速く読めますか?
-
一定の期間で速度が何倍になる、という目安は示せません。文章の難しさ、話題への慣れ、どこまで理解したいかによって読む時間は変わります。まず短い文章で5つの手順を試し、速さと一緒に読み落としや理解の曖昧さを振り返りましょう。
- ビジネス書と小説では読み方を変えた方がよいですか?
-
ジャンルだけでなく、その本で何をしたいかに合わせます。ビジネス書でも主張や根拠を検討するなら丁寧に読み、小説でも以前読んだ場面を探すなら目次や手がかりから探せます。表現や物語を楽しむ時間は、無理に短くする必要はありません。
まとめ:読む場所を選び、必要な内容を確かめる
読む時間を工夫したいときは、目的と必要な理解の深さを決めるところから始めてみましょう。
- 知りたいことを一文で決める
- 目次や見出しで全体の構成を見る
- キーワードや索引から必要な箇所へ進む
- 重要な段落は条件や例外まで丁寧に読む
- 内容を自分の言葉で確かめ、必要なら読み返す
次に開く本で、まず答えを探したい疑問をひとつ書いてみてください。じっくり味わいたい本なら、その時間を楽しむ読み方を選んで構いません。

