NISAの積立額は、年齢だけでなく、毎月の収支と、これからお金を使う予定から決めます。枠を使い切ることより、生活費や急な出費に困らない金額にすることが先です。
NISAは対象商品の売却益などを非課税にする制度で、預金のように元本が守られる仕組みではありません。投資に回せる金額を先に整理しましょう。
家計から積立額を考える例、利回りを変えた試算、積立を減らす・止める・売却する場合の確認点を紹介します。まだ口座を持っていない方は、NISAの口座開設と積立設定の手順から確認できます。
積立額を決める前に、お金を使う時期で分ける
家賃や食費など毎月の支出に加え、年払いの保険料、税金、車検、学費なども書き出します。毎月は余っているように見えても、年に数回の支払いで貯蓄が減っていることがあるためです。
| お金の使い道 | 積立額を決めるときの扱い |
|---|---|
| 毎月の生活費・返済 | 収入から先に確保する。カード払いも、引き落とし前だから余っていると数えない。 |
| 急な出費や収入減への備え | すぐ使える預貯金として、必要な金額を考える。雇用や家族の状況によって備えは変わる。 |
| 時期が決まっている支払い | 学費・引っ越し・車の買い替えなど、必要な日までに用意する。近いうちに使う分は投資と分ける。 |
| 当面使う予定のないお金 | 値下がりしても生活に影響しない範囲を、長期の投資候補として考える。 |
こうした生活設計と貯蓄・投資の使い分けは、金融庁の資産形成の基本でも説明されています。
月いくらにする?まずは家計の差額を計算する
たとえば、次のような家計を考えてみます。金額は、自分の収入と支出に置き換えて計算してみてください。
- 月の手取り収入:25万円
- 生活費・返済・年払い費用の月割り分:20万円
- 急な出費への備えと、近い将来の予定のために預金へ回す額:3万円
この場合、残りは25万円−20万円−3万円=2万円です。残りをすべて投資に回すと余裕がなくなるなら、積立を1万円にして1万円を手元に残す、といった配分も考えられます。収入が不安定な場合や備えが足りない場合は、預金を優先する選択があります。
積立を続けるために借り入れたり、リボ払いの残高を増やしたりする状況なら、積立額と支払いを見直しましょう。
月3万円を20年積み立てた場合の試算
積立の元本は、3万円×12か月×20年=720万円です。運用結果は利回りによって変わります。次の表は、毎月末に3万円を積み立て、同じ年率が20年間続くと仮定した計算例です。
| 仮定した年率 | 20年後の計算上の金額 |
|---|---|
| −3% | 約540万円 |
| 0% | 720万円 |
| 3% | 約981万円 |
| 5% | 約1,217万円 |
年率を月ごとの複利に換算し、税金・手数料・物価変動を含めず、万円単位で四捨五入しています。実際には毎年同じ利回りにはならず、この範囲に収まるとも限りません。期間が長くても元本割れはあり得ます。
試算は、積立額や期間を変えたときの違いを考えるために使います。金融庁のつみたてシミュレーターでは、積立額・想定利回り・期間を変えて試せます。目標額に届かない場合は、家計から出せる金額や使う時期も見直してみましょう。
積立と複利は、どう働く?
毎回同じ金額で買う積立では、価格が安いときは多く、高いときは少なく買います。買う時期を分けられますが、一括で買うより必ず有利になるわけではなく、値下がりによる損失も防げません。
複利は、運用で得た収益を元のお金に加えて、さらに運用することです。収益が出て再投資できれば次の運用に回る額が増えますが、毎年プラスの収益が出ることを意味しません。
金額を決めたら、買う商品がどの国・資産に投資するのか、値下がりの要因、持っている間の費用を確認します。複数の投資信託を買っても、投資先が重なれば分散はあまり進みません。金額と商品の両方を、生活費を別に残せる範囲で考えましょう。
NISAの枠は、積立の目標額ではない
2026年9月時点で、つみたて投資枠は年120万円、成長投資枠は年240万円です。両方を使えますが、使い切る義務はありません。月3万円なら年36万円なので、他の買い付けがなければ、つみたて投資枠の年120万円以内です。
2024年以降のNISAで持てる全体の上限は、買ったときの金額で1,800万円。このうち成長投資枠は1,200万円までです。売却した商品の買値分は翌年以降に全体の枠を再利用できますが、その年の年間投資枠が増えるわけではありません。制度の詳細は金融庁のNISA案内で確認できます。
生活が変わったときの見直し方
| 今の状況 | 先にすること |
|---|---|
| 収入が減った・支出が増えた | 毎月の収支を計算し直す。積立額を下げる、いったん止めることを検討する。 |
| 学費など、使う時期が近づいた | 必要な金額と日付、預金で用意できる分を確認する。投資分を使うなら売却から入金までの日数も調べる。 |
| 値下がりが気になって生活に支障がある | 投資額と商品の値動きが自分に合っているかを確認する。金額や保有する資産の組み合わせを見直す。 |
| 収入が増えた | 貯蓄や近い支払いの準備を確認してから、増額できるか考える。増えた分をすべて投資へ回す必要はない。 |
積立額を変更したら、いつの買い付けから反映されるかを金融機関の画面で確認します。変更期限や支払方法によって、次の買い付けには間に合わない場合もあります。受付結果を保存し、次回の注文内容を見ておきましょう。
積立の停止と売却は別の手続き
積立の停止は、これからの定期購入を止める手続きです。持っている投資信託などは残ります。一方、売却は今持っている商品を手放す手続きで、値上がり益や値下がり損が生じることがあります。
生活費が必要になった場合は、積立の停止だけで足りるか、保有分も使う必要があるかを分けて考えます。売却するなら、必要額、受付日、取引が成立する日、代金を受け取れる日、費用を確認してください。商品によっては、申込時点で売却価格が確定していないこともあります。
換金の流れは、資産運用業協会の投資信託の換金手続きでも確認できます。利用している金融機関の受付・入金予定を見て、必要な日に間に合うように考えましょう。
売るか持ち続けるかは、必要な時期と家計、商品のリスクに合わせた判断です。値下がりしたら一律に売る、何があっても持ち続ける、と決めるより、投資した目的を確かめ直しましょう。
よくある質問
月5,000円では少なすぎますか?
家計に合う金額から考えて構いません。月5,000円を20年間積み立てた元本は120万円です。運用結果は増えることも減ることもあります。最低積立額を金融機関で確認し、続ける余裕があるかを優先してください。
積立を止めたら、NISAの非課税扱いも終わりますか?
積立を止めるだけで、2024年以降のNISAで購入済みの商品が非課税対象から外れるわけではありません。非課税保有期間は無期限です。新しい買い付けを止める手続きと、口座の廃止・商品の売却を区別してください。
iDeCoと両方積み立てた方がいいですか?
制度を増やす前に、家計から出せる積立の合計額を確認しましょう。老後資金を準備したい場合は、iDeCoの掛金・費用・引き出し制限を見て、お金を使う時期と合うかを比べてください。
まずは次の一年に予定している大きな支払いを書き出し、毎月の積立と別に確保する額を決めてみましょう。設定済みなら、今の積立額と次の買い付け予定を開いて、家計の計算と照らし合わせるところから始められます。

